症状
エストロゲンは全身に分布しているため更年期症状は多様な症状が出ます。
のぼせ、発汗異常、めまい、倦怠感、不眠、頭重感、ゆううつ、動脈硬化、高血圧、骨粗しょう症などの症状が好発ですが、更年期症状があることで日常生活に支障が出る状態を「更年期障害」といいます。
しかし中には心臓疾患、甲状腺疾患、脳外科、耳鼻科などの疾患が隠れていることもあるため、まずは病院で正しい診断をすることが大切です。
〒142-0062 品川区小山3丁目14番1号 シティタワー武蔵小山2階 201-2号室
更年期障害
Menopausal Disorder
Menopausal Disorder
女性は40歳代中ごろから女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量が徐々に減少し、50歳前後で多くの方が閉経を迎えます(日本人女性の平均閉経年齢は49.5歳)。この閉経の前後5年の10年間(45~55歳頃)を更年期と呼びます。
日本女性の平均寿命は87.14歳(2024年)であり、閉経はほぼ人生の折り返し地点で更年期はすべての女性がいつかは通る道ですが、症状の程度はかなり個人差があり理解されづらいことも多いです。老齢期の入り口である更年期をいかに乗り切り後半の人生の生活の質をあげられるか、現代の日本女性にとって大切な問題です。当院では更年期の診断・治療に特に力を入れております。
エストロゲンは全身に分布しているため更年期症状は多様な症状が出ます。
のぼせ、発汗異常、めまい、倦怠感、不眠、頭重感、ゆううつ、動脈硬化、高血圧、骨粗しょう症などの症状が好発ですが、更年期症状があることで日常生活に支障が出る状態を「更年期障害」といいます。
しかし中には心臓疾患、甲状腺疾患、脳外科、耳鼻科などの疾患が隠れていることもあるため、まずは病院で正しい診断をすることが大切です。
エストロゲンの低下によりこれまでエストロゲンが司っていた調節機能がうまくいかなくなり、脳は卵巣に対してもっと女性ホルモンを出すようにシグナルを送ります。その際にシグナルが周囲の脳に不要な興奮を起こしてしまうため自律神経の調節がうまくいかなくなります。更年期症状の持続期間は通常1-2年、長くても2-3年で、体が低エストロゲン状態になれて症状は自然に軽減しますが個人差があり7-8年苦しまれるケースもあります。
女性のライフサイクル上、大切なこの時期を症状に悩まされることなく活き活きと過ごすためにホルモン補充療法(HRT)は効果的です。
月経の有無や閉経からの期間、過去に乳房や子宮、卵巣の病気にかかったことがあるかなど体の状態に加えて、現在困っている症状などを問診で確認します。血液検査で血中のホルモン濃度を測定し現状を把握、エコーや細胞診で子宮や卵巣に婦人科系の疾患がないかを調べたり、当院では骨量の測定も行っています。エストロゲンの低下が認められ、なおかつ現在の症状が他の疾患から起きているものではないと判断されたときに更年期障害と診断し、治療に移ります。
当院では「ミドルエイジ・更年期チェック」としてご利用いただけるレディースチェックプランを用意しております。ぜひご利用ください。
更年期障害は身体的・心理的・社会的因子が複雑に関与して発症しますので、生活習慣の改善や運動療法心理療法も大事です。
バランスの良い食事(女性ホルモンに似た働きを持つ大豆製品を多めに)、十分な睡眠(体力や気力が低下し疲れやすくなっています、疲れたら無理をせずに休むこと)、適度な運動(血行促進、自律神経のバランスを整える、ストレス解消など)、気分転換(趣味や友人との会話、ストレスを感じにくい環境に身を置くなど)も大切です。
薬物療法は大きく3つに分けられます。
更年期障害の主な原因がエストロゲンのゆらぎと減少にあるため、少量のエストロゲンを補う治療法(ホルモン補充療法:HRT)が行われます。
HRTは、ほてり・のぼせ・ホットフラッシュ・発汗など血管の拡張と放熱に関係する症状に特に有効です。エストロゲン単独では子宮体癌のリスクが上昇するため、子宮のある方には黄体ホルモン(プロゲステロン)を併用します(エストロゲン・黄体ホルモン併用療法)。
手術で子宮を摘出した方には、黄体ホルモンを併用する必要はありません(エストロゲン単独療法)。HRTに用いるホルモン剤には飲み薬、貼り薬、塗り薬などいくつかのタイプがあり、またその投与法もさまざまです。よく話し合いながら、その人に合った最適な治療法を選択していきます。
HRTに関しては、一時乳がんなどの副作用が強調される傾向にありました。しかし最近になって、更年期にHRTを開始した人では心臓・血管の病気や骨粗鬆症など老年期に起こる疾患が予防できるという利点が、再び見直され始めています。
漢方薬はさまざまな生薬の組み合わせで作られており、全体的な心と体のバランスの乱れを回復させる働きを持ちます。多彩な症状を訴える更年期女性に対しては、「婦人科三大処方」とも呼ばれる当帰芍薬散・加味逍遥散・桂枝茯苓丸を中心に、症状に合わせた処方が用いられます。
胎盤から抽出されたアミノ酸、ビタミン、ミネラル、核酸など体の生成に必要な成分を含んでいますが、ホルモン剤ではありません。新陳代謝の活性化や抗酸化作用などの効果が期待されます。更年期症状がある方は保険適応で治療できます。
気分の落ち込み・意欲の低下・イライラ・情緒不安定・不眠などの精神症状が最もつらい症状である場合には、抗うつ薬・抗不安薬・催眠鎮静薬などの向精神薬も用いられます。選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)やセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)などの新規抗うつ薬は副作用も少なく、またほてり・発汗など血管の拡張と放熱に関係する症状にも有効であることが知られています。