PMS(月経前症候群)とは?

PMS(月経前症候群)は、月経が開始する3~10日ほど前の黄体期の間に現れる、心身の不調です。これらの症状は月経が開始すると同時に改善するのが特徴です。女性の95%は月経前に何らかの症状を経験しているといわれていますが、その程度や種類は個人差が大きいです。軽度な場合には、生活習慣の改善などで症状がよくなることも多いのですが、重度な気分変調があるものは月経前不快気分障害(PMDD)と呼ばれる著しい精神症状を認めるものがあり、抗うつ薬などの使用が必要となることもあります。
PMSの主な症状
PMSの症状は身体的なものと精神的なものがあり、その両方が現れることも多いです。
1. 身体的な症状
- 腹痛と不快感
最も多い症状は腹痛です。月経前に子宮が収縮するため下腹部に鈍い痛みや重さを感じたり、腸の調子が悪くなり、便秘や下痢が交互に現れることもあります。
- むくみ
ホルモンの変動により体内に水分が溜まりやすくなり、顔や手足のむくみ、特に足のむくみが強く感じられます。むくみがひどくなると、体重が増加したように感じることもあります。
- 胸の張りや痛み
月経前にエストロゲンとプロゲステロンのホルモンが増加するため、胸が張ったり、触れると痛いこともあります。これもPMSの典型的な症状です。
- 頭痛や肩こり
ホルモンバランスの乱れが原因で、片頭痛や緊張型頭痛が発生しやすくなります。肩や首の筋肉が硬くなり、肩こりや背中の痛みを感じることもあります。
- 疲れやすさ
ホルモンの変動により、体が重く感じたり、動くのが億劫になったり、日常生活でのエネルギー不足を感じ、いつも以上に疲れやすくなったりします。
- 眠気や睡眠の質の低下
PMSが影響するもう一つの大きな部分は睡眠です。夜中に何度も目が覚めたり、深い眠りを得られないことで昼間に眠気を感じ、日常的に疲れが取れない状態になることがあります。
2. 精神的な症状
- 情緒不安定
主な精神的症状の一つに、急激な感情の変動があります。些細なことでイライラしたり、涙が止まらなかったり、突然落ち込んだり。普段は穏やかな性格の人でもPMS期間中は感情が不安定になりやすいです。
- 抑うつ感や不安感
PMSが引き起こす精神的な症状には、強い不安感や抑うつ感も含まれます。自分に対する評価が低くなり、何をしても上手くいかないように感じたり、仕事や人間関係で不安が募りやすく、過度な心配をすることが増えます。
- 集中力の低下
PMSが原因で、思考がぼんやりとして集中できなくなることがあります。特に仕事や勉強で集中を必要とする場面では、効率が悪くなり、細かいミスが増えることがあります。
- 睡眠障害
眠れない、寝すぎてしまうといった睡眠の質の低下も精神的な症状に影響を与えます。寝不足が続くと、気分が落ち込みやすくなり、日常生活に支障をきたすこともあります。
PMSの原因
PMSの正確な原因はまだ完全には解明されていませんが、主に以下のような要因が関係しています。
- ホルモンバランスの変動
月経周期に伴い月経前のエストロゲンの減少とプロゲステロンの増加が、情緒不安定や体調不良を引き起こします。
- セロトニンの減少
セロトニンは、気分を安定させるために重要な役割を果たすホルモンです。月経前にセロトニンの分泌が低下することで、気分の落ち込みや不安感、イライラなどが引き起こされやすくなります。
- 遺伝的要因
PMSには遺伝的な要素があると考えられており、家族にPMSの症状が強く現れる人が多い場合、ご本人も症状を感じやすくなる可能性があります。
- ストレス
生活の中で抱えるストレスが、PMSの症状を悪化させることがあります。仕事や家庭でのプレッシャー、過労や人間関係の問題などが、PMSの症状を引き起こす原因となることがあります。
PMSへの対処法
PMSの症状を軽減し、快適に過ごすためには、生活習慣の見直しや適切な対策が効果的です。
- 1.規則正しい生活を心がける
- PMSの症状はホルモンの影響を受けているため、規則正しい生活を送ることが症状の軽減に繋がります。特に、十分な睡眠を確保し、毎日の生活リズムを整えることが大切です。
- 2.ストレスを減らす
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ストレス管理はPMSの症状に非常に重要です。リラックスできる時間を持つこと、趣味や運動を通じて心身をリフレッシュすることが、症状を和らげる助けになります。ヨガや瞑想など、心を落ち着ける方法を取り入れてみることも効果的です。
- 3.食事の改善
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PMSの症状緩和のためにビタミンB6やカルシウム、マグネシウムなど、必要な栄養素を十分に摂取することが推奨されます。塩分やカフェイン、アルコールは症状を悪化させることがあるので、摂取を控えめにしましょう。
- 4.軽い運動を取り入れる
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軽い運動やストレッチが、血行を良くし、痛みや不快感を和らげる効果があります。ウォーキングやヨガなど、無理なくできる運動を日常に取り入れることが有効です。
- 5.医師に相談する
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症状が辛く日常生活に支障をきたしている場合は、ぜひ当院にご相談ください。低用量ピルや黄体ホルモンによるホルモン治療のほか、イライラ感や自律神経失調症状には当帰芍薬散などの漢方薬、頭痛をはじめとした体の痛みに対しては消炎鎮痛剤、抑うつなど精神症状が著しいPMDDの場合は抗うつ薬が使用されます。
PMSは多くの女性が経験する症状ですが、症状がひどくなる前に専門的なサポートを求めることが最良の方法です。毎月来るこの時期を支障なく少しでも快適に過ごせるよう、一緒に解決法を見つけましょう、当院にご相談ください。